幸せに関わる学説

やる気と情動(感じ方)の関連性(Wikipediaより)

【大脳辺縁系】
大脳辺縁系の働きは、好きか嫌いかを過去の記憶から判断し、好きと判断した場合は意欲を起こし、嫌いと判断した場合は、それを避けるための信号を発します。そうした動物としての原初的な行動の源となっている部位です。そして、その信号を記憶し保存する機能があるため、情動(トラウマ)の座ともいわれます。まさにトラウマは大脳辺縁系に記録され、無自覚のうちに私たちの心情や行動に影響を与え続けているのです。

【側坐核】大脳辺縁系の中で、海馬同様に重要な役目を果たしているのが、脳の中心近くになる小さな器官“側坐核”です。(辺縁系には含まれません)
これは“やる気の脳”とも呼ばれる部分で、前頭連合野から「何かを始めよう」という指令を受けると、側坐核が扁桃体や海馬と相談しあいながら、それが好きなことであるかどうかを判断し、やる気を出すかどうかを決めています。

動機づけ(Wikipediaより)

動機づけ(どうきづけ、motivation、モチベーション)とは、行動を始発させ、目標に向かって維持・調整する過程・機能。
動機づけは人間を含めた動物の行動の原因であり、行動の方向性を定める要因と行動の程度を定める要因に分類できる。動物が行動を起こしている場合、その動物には何らかの動機づけが作用していることが考えられる。またその動物の行動の程度が高いかどうかによってその動機づけの強さの違いが考えられる。


生理的動機づけ
生命を維持し、種を保存させるための生得的な動機。飢え、睡眠、排泄、身体的損傷回復など。生物的動機づけとも言う。

社会的動機づけ
【達成動機づけ】
達成動機づけとは、評価を伴う達成状況において高いレベルで目標を達成しようとする形態の動機づけを言う。ジョン・アデアは何が人に動機を与えるかを理解することは、その人たちの関心を引き労力を集中させるために必要不可欠であると論じている。行動へとつながる意思は動機によって支配され、この動機とは人の内にある心理的要求や欲求であり、それは意識的か半意識的か無意識的かを問わない。動機はメインの動機の周りを他の動機が取り囲んだ形の混合体である場合もあると論じている。[2]マレーはこの達成動機づけを達成要求の観点から考え、人間は独力を以って高水準の目標を達成しようとする欲求があり、これによって行動が規定されると仮定し、達成動機には成功願望と失敗恐怖の二つの欲求から構成されると論じた。またアトキンソンは成功願望と失敗恐怖の二つの達成要求だけのパーソナリティの安定的側面だけでなく、流動的な周囲状況の期待感や価値観が重要だと考え、成功と失敗の価値及び成功と失敗の期待も強く影響すると論じた。また達成行動には行動の結果の原因をどのように考えるのかにも強く影響する。結果の原因としては能力、努力、問題の困難性、偶然性の四要素を考えることが一般的であり、達成動機が高い人は内的要因である能力や努力に原因が帰属すると考える傾向が強い一方で達成動機が弱い人は外的要因である問題の困難性や偶然性に原因が帰属すると考える傾向が強い。

【内発的動機づけ】
内発的動機づけとは好奇心や関心によってもたらされる動機づけであり、賞罰に依存しない行動である。これは特に子供は知的好奇心が極めて高いために幼児期によく見られる動機づけである。たとえばある子供がTVゲームに熱中しているとき、その子供は賞罰による動機付けによってではなく、ただ単にゲームが楽しいからという内発的な動機によりそれに熱中するのである。くわえて知的好奇心だけでなく、自分で課題を設定してそれを達成しようとするような状況においては自分が中心となって自発的に思考し、問題を解決するという自律性、また解決によってもたらされる有能感が得られ、動機づけとなり得る。一般的に内発的動機づけに基づいた行動、例えば学習は極めて効率的な学習を行い、しかも継続的に行うことができる。これを育てるためには挑戦的、選択的な状況を想定して問題解決をさせることが内発的動機づけを発展させるものと考えられる。内発的動機には感性動機、好奇動機、操作動機、認知動機などがある。

【外発的動機づけ】
外発的動機づけとは義務、賞罰、強制などによってもたらされる動機づけである。内発的な動機づけに基づいた行動は行動そのものが目的であるが、外発的動機づけに基づいた行動は何らかの目的を達成するためのものである。たとえばテストで高得点を取るためにする勉強や、昇給を目指して仕事を頑張る場合などがそれにあたる。強制された外発的動機づけが最も自発性が低い典型的な外発的動機づけであるが、自己の価値観や人生目標と一致している場合は自律性が高まった外発的動機づけと考えられる。外発的動機づけは内発的動機づけと両立しうるものであり、また自律性の高い外発的動機づけは内発的動機づけとほぼ同様の行動が見られる。


心理・社会的な欲求の種類(Wikipediaより)

ヒトは群居性の動物であり、また高度な思考力を持つために、社会的に認められたい、知識を満足させたい、他者を満足させたい、というより高次な欲求がある。また、欲求の内容は、後天的に身につくものであり、社会や文化の影響が大きいという特徴が見られる。マレー(Murray)の質問紙検査・臨床心理検査・面接調査を行った調査によれば以下のような欲求が多くの人間に認められる。

  • 獲得:財物を得ようとする欲求。
  • 保存:財物を収集し、修理し、補完する欲求。
  • 秩序:整理整頓、系統化、片付けを行う欲求。
  • 保持:財物を持ち続ける、貯蔵する、消費を最小化する欲求。
  • 構成:組織化し、構築する欲求。
  • 優越:優位に立つ欲求。達成と承認の合成。
  • 達成:困難を効果的・効率的・速やかに成し遂げる欲求。
  • 承認:賞賛されたい、尊敬を得たい、社会的に認められたい欲求。
  • 顕示:自己演出・扇動を行う、はらはらさせる欲求。
  • 保身:社会的な評判・自尊心を維持する欲求。
  • 劣等感回避:屈辱・嘲笑・非難を回避する欲求。
  • 防衛:非難・軽視から自己を守る、また自己正当化を行う欲求。
  • 反発:二度目の困難に対して再び努力し、克服・報復する欲求。
  • 支配:他人を統率する欲求。
  • 恭順:進んで他人(優越な人間)に積極的に従う欲求。
  • 模倣:他人の行動やあり方を真似する欲求。
  • 自律:他人の影響・支配に抵抗し、独立する欲求。
  • 対立:他人と異なる行動・反対の行動をとる欲求。
  • 攻撃:他人に対して軽視・嘲笑・傷害・攻撃する欲求。
  • 屈従:罪悪の承服・自己卑下の欲求。
  • 非難の回避:処罰・非難を恐れて法・規範に進んで従う欲求。
  • 親和:他人と仲良くなる欲求。
  • 拒絶:他人を差別・無視・排斥する欲求。
  • 養護:他人を守り、助ける欲求。
  • 救援:他人に同情を求め、依存する欲求。
  • 遊戯:娯楽などで楽しみ、緊張を解す欲求。
  • 求知:好奇心を満たす欲求。
  • 解明:事柄を解釈・説明・講釈する欲求。

知識・名誉・地位等を得ることによる満足感や他者から認知されたいといった欲求、ストレス発散行為を欲する動き、より美味しいもの・より良いものを求める動き、見栄・所有欲等がある。子供の養育は、生殖欲求の一種でもあるが、ヒトの場合は「思いやりのある子に育って欲しい」など、高次な欲求にも基づいている。ただし人間の欲求は非常に複雑な相互作用が起こるために単純に上記の欲求に行動を還元することはできない。生理的な欲求が満たされれば、高次な欲求の方が、行動や心の動きを決める上で重要となってくると考えられる。